この4月から娘が幼稚園に入りました。我が家は、2年保育を選択したので、年中さんからの入園です。3月にある「1日入園」の時は、「楽しかった」と帰ってきたので少し安心していました。年中から入園する3人のみのお試し入園だったので、少人数で遊ぶことができ、「友達ができた」と喜んでいました。しかし、4月から本格的に幼稚園が始まると、たくさんの同級生がいて、なかなか馴染めないようです。これまで両親との生活がメインだったので自分から遊ぼうと言えば遊ぶことができたし、常に注目の的でした。それが、一変した幼稚園生活。戸惑わない方が不思議なくらいです。
幼稚園での生活を想像してみました。
- 初めての空間で、両親と離れて過ごす。
- 名前の知らない子たちばかりいる。
- 他の子はもともとの友達であるため、遊ぶときに輪に入れない。
- なんと言って遊ぼうとすれば良いのかわからない。わかっていても行動に移せない。
- 幼稚園の先生も、自分にだけ構ってくれるわけではない。
- 他の子はできる遊び(縄跳びなど)も、自分はやったことがない。
少し想像しただけでもこれだけあり、胸が苦しくなりました。こんなに過酷な状況に、みんな適応していくことはすごいことだと感じました。その中で、娘にどう接すれば良いのか、妻と話し合う時間がありました。
- 家では安心して過ごせるようにするため、小さなことで怒らない。
- 「幼稚園、楽しかった?」と聞かない。聞くとしても、「今日はどんなことをしたの?」など。
- 友達との接し方がわからない時は、「一緒に遊ぼう」と自分から言ってみる、など、娘ができそうなアドバイスをする。
その日幼稚園でしてきたことを参考に、自宅でできる練習をすることにしました。縄跳びの練習、ハサミ使い、折り紙など。
世の幼稚園生、保育園生はとても小さな時から様々な試練を経験してきたのだと初めて知りました。想像力が足りませんでした。きっと、自分の娘も大きく成長していくのでしょう。寂しさもありますが、今は不安が大きいです。ぜひ、頼もしく育ってもらいたいですが、大きなダメージを受けないよう、日々の娘の言動に注意を払いながら見守っていきたいです。
小児科医として
これまで小児科医として仕事をしてきて、同年代の子について知っていることといえば、集団生活を始めると、よく風邪をひくようになるということです。ブログを書いている現時点で、すでに娘は鼻水を出しています。
上気道炎(かぜ症候群)
- 原因の80~90%はウイルス感染
- 残りの10~20%は細菌感染。溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)、肺炎球菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマ、クラミジア、モラキセラ・カタラーリスなど
- 迅速検査があるもの
- 溶連菌、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、マイコプラズマ、新型コロナウイルスなど(病院、診療所によっては行っていない検査もあります)
- ウイルス感染には主に対症療法(解熱剤、去痰剤など)。インフルエンザに対しては抗ウイルス薬を用いる場合がある
- 細菌感染に対しては、起因菌を想定、同定し、抗菌薬を用いる
上気道炎のほとんどはウイルスが原因です。ウイルスに抗菌薬は効果がありません。基本的には、数日から1週間程度で症状は自然に改善することが多いです。小児科医として大切なことは、多くの上気道炎患者の中に潜む、重症患者(感染症、非感染症問わず)を見つけ出すことだと考えています。飲めない、食べられない、眠れない、呼吸が荒い、ぐったりしている、呼びかけても意識がぼんやりしているなど、「風邪にしては状態が悪いな」という印象があれば必ず病院を受診していただきたいと思います。
このブログは、詳細な専門知識を公開するものではありません。家族との関わりを通して、父親として、夫としてどのように振る舞うべきかを考えることが目的です。その時々に考えたことや体験したことから派生させ、少しずつ医学的なものも織り交ぜていきたいと考えています。
父親として
子どもが風邪を引いた時、どんなことに注意するべきでしょうか。まずは水分、食事を取れているか、おしっこが出ているかどうか、意識がおかしくないか、呼吸様式が変ではないか、眠れているか。水分が取れていなければ脱水が進行します。尿は濃くなり、量も少なくなります。数日の経口摂取不良があれば体重も減ります。抱っこしたときに軽くなった印象があれば体重が減っている可能性を考えます。呼びかけに反応がない、乏しい場合は緊急性が高いと思われます。すぐに医療機関に相談してください。呼吸が異常に早い、肩で呼吸をしている、服を脱がせると肋骨を浮き立たせて呼吸をしている、などは呼吸の赤信号です。さらに顔色が悪ければ血中の酸素濃度が低い可能性もあります。この場合もすぐに病院を受診してください。眠れていない状態が続くと、さらに体力は消耗してしまいます。自宅で見られる範囲内なのかは、医療者に相談すべきです。
地域によって、夜間診療のシステムが異なります。輪番体制であったり、一次診療を行う施設、時間が決まっていたり。お住まいの地域の夜間の診療体制を、市のホームページなどで確認しておくことは、スムーズな受診につながります。
「このような状態では、病院受診の必要はありません」と言えることはありません。医療の中には、非典型例、例外はたくさん存在します。「親から見て心配だったから」という理由だけでも、病院を受診して頂いて構いません。そのための小児科、救急診療です。
子どもの体調不良を見ると不安ですよね。親になった今、以前よりも保護者の気持ちがよく分かるようになりました。心配して病院を受診して、何もなければ結果オーライです。みんなで子どもたちを守っていきましょう。
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