多くの血液検査で行われる項目です。白血球、WBCなどと表記されます。
白血球は、感染などへの免疫、異物への対応、細菌貪食、殺菌など、体にとって大切な防御機能を担っています。白血球数の基準値は月齢、年齢によります。出生後数日であれば18000〜20000/μL程度は概ね正常値ですが、その後は4000~9000/μLが正常値になります。クリニックを受診し、血液検査をした場合、白血球数とその分画(好中球、リンパ球、好酸球など)が調べられます。小児の発熱患者の多くはウイルス感染症ですが、全身状態が不良であったり、発熱期間が長かったりする場合は細菌感染症の可能性を考慮する必要があり、血液検査が行われることが多いです。血液検査で白血球数が高値であり、さらに好中球が優位に高い値であれば細菌感染症の可能性が高くなります。細菌感染症の場合、次回以降に説明する「CRP」という項目も高値になります。細菌感染症が疑われる際は、患者本人の状態にもよりますが、総合病院の受診を指示される場合もあります。
しかし、ウイルス感染症でも同じような検査結果になることがあります。例えば、アデノウイルス感染症は白血球数、CRPいずれも高値となります。アデノウイルスは咽頭の迅速検査があるので検査によって診断されます。
白血球数が高値となる疾患はたくさんあります。上気道炎(いわゆる「かぜ」)、肺炎、中耳炎、尿路感染症、髄膜炎、川崎病、みずぼうそう、虫垂炎など。体の中での炎症反応、防御反応の結果を見ているので当然ではあります。血液検査で白血球数が高値であるだけで何か診断がつくわけではありません。
まずは患者本人の診察をし、ある程度の疾患を予想します(鑑別診断)。その上で必要な検査を行います。血液検査は重要ですが、数多くある検査の一つに過ぎません。
血液検査をした場合、その結果説明を受けると思いますが、医師がどのように解釈したのかを聞くようにしてください。「発熱が続いているけれども、本人の活気も良いし、血液検査は炎症反応がそこまで高くなかったので何かしらのウイルス感染症を疑います」や、「熱以外に目立った症状はなく、血液検査をしてみると炎症反応が高かったので、尿路感染症などを含め精査が必要だと思われます」など、その後の対応を指示されると思います。
血液検査は重要な検査ですが、病歴、身体所見、既往歴、周囲の感染状況など、他の情報が検査以上に大切になります。たくさんの情報から診断に近づけていく過程を、ご家族、医療者で協力できたらと思います。
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